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9月中旬
2019年夏に国際線ターミナルが新設リニュアルされたばかりの新千歳空港。
台湾からのゲスト到着。
2週間のプライベートガイド で対応。
ニセコを拠点に釣り三昧と洒落込む。
「ロッドチューブの中身は詰め詰めでギッチリだよ。今回は滞在中にロッド作りもしたいから未塗装のブランクも入ってるからだよ… 工房貸してね。」
オッケー。 ガイドハウスを自分の工房だと思って好き勝手にやって。
「ありがとう、そうするよ。」
中国語の未熟なガイドに英語で付き合ってくれるゲストに感謝。
台北在住のバンブー・ロッドビルダー 楊定家(ヤン・ディンイェ)
「Hattori-Rod」
彼の手掛けるハンドメイドロッドが今や口コミだけで北米をはじめ、世界中のコアファンからの高い評価と制作依頼を受けるに至っている。
彼自身は29歳。 じーさんばっかりの竹竿ハンドメイド業界の中では驚きの若さ。
新進気鋭の自分たちが意気投合するのに長い時間は必要なかったというわけで。 今や彼とその一派は完全なヘビーリピーター。
早速やってきたニセコの谷底。
早々ロッド振るかと思いきや…
「焼きそば弁当」食う
9月中旬の道央河川は日中まだ蝉時雨。
綺麗な川に手作りの竹竿を馴染ませてゆく。
ミヤマ好き。
期待してたほどの反応なくて、しばらくしてフライからルアーにチェンジ。彼は若いからそーゆーとこも柔軟にオッケーなタイプ。
でもって、開始1投目ですぐ釣りやがる。
所詮釣りなんていつもこんなもんです。
釣り、難しく考えたら負け。
リピーターのプライベートガイド は基本的にのんびり・ゆっくり過ごしてもらう、、、
朝は8時起き。 コーヒーと朝食をゆっくりと取って、ランチパックを持って昼前からは一緒にフィールドへ出かけ、夜は地産の食材や釣果を使ってガイドハウスでディナーとお酒。
といった感じ。
ディンイェの場合は釣りから帰ったらディナー待つまでの間は竹竿制作タイム。
「今日の釣りも本当に良かった、良いインスピレーションを貰ったよ。ありがとう」
その日の釣りを思い出しながらラッピングに込めてゆく作業を少しづつやってる様子。
その竿はどんな風合いに仕上がるのか。 …ってゆうか一体いつ仕上がるのか、、、
そうやって1日に少しづつしか進捗しない手作りの竹竿というのはホントに贅沢な物なんだと思う。
この日はファミリードリフトボート に飛び入り参加。
フライフィッシングが好きという日本の大学生と国際親善釣行…
「ヒレがバッキバキだよこの虹鱒! こんな透きとおった川にこんな綺麗な魚がいるなんて、、、 やっぱり北海道はすごい!」
…いや、君の腕の方が筋肉バッキバキよね。 どっちかっつーとね。 ワイフビーターよく似合うね…。
「ワイフビーター?? それ英語? どういう意味だい?」
知らなくて良いよ。
時は今、鮭が釣れまくる9月かな (字余り)
ある深夜
家の人にちょっと明日の朝はサケ釣り行ってくる、、、 とだけ言い残し、寝ぼけて中国語で何やらむにゃむにゃ言う彼を布団の聖域から引っぱり出して車に押し込んで出かけた結果がこれ、、、ガイドハウスから車でたっ30分の海岸で2人でこんだけ釣れた。
「これは文化だ。素晴らしい。」
はいそうです、サケ釣りは北海道の文化です。 ライセンスは必要ありません。身分や所得に関係なく誰でもいつでも自由にサーモン釣りができるんだよ。 さあウチ帰って昼まで寝よう…!今日は夕方もサケは良いと思うけど後で飯食って寝てからまたくる?
「はい、もちろんです!」
川でボート釣りでもいいんだよ?
「うーん、じゃあやっぱり川で。 今日はもう海の香りを十分に楽しみましたから。 でもまずは帰っていつものコーヒーを愉しみたいです!」
贅沢な時間が流れてゆく…
これがほんとうのプライベートガイド 。
ガイドハウスで釣ったサケをすぐに燻製にしちゃう。
ソミュール漬け、風乾燥、燻煙の全行程には1週間ほどを要す。
ゲストの滞在中にうまくできるかな…??
今回特注の北海道スペシャルを彼から納品してもらう。
「まず使ってみて。 #8くらいの短めのヘッド乗せて」
ありがとう。ちょうどOPSTの425grがあるからそのあたりでどう思う??
「よいと思います。 フィードバックください。次はもっと良いものを作ってきます」
良いビルダーとの出会いは良い釣り人生にいっそうの彩りをくれるもの。
友人が自分のために作ってくれたこの竿を大切に使っていきたいと思うのもそうだが、それ以上に友との関係を大切にしてゆきたいと思う。
お金で買えないこういうものはプライスレス。良いビルダー紹介します。
後編に続く。